つかさの自由帳

140文字では伝えきれないこと:自由について本気出して考えてみた


ワンピースに見る「自由」と「正義」、そして最終話予想

インターネットの世界ではマイルドヤンキーだ、ワンピース的価値観だと馬鹿にされがちなワンピースなんだけど、実はかなり現代社会に深い洞察を与えてくれている漫画だと僕は思っている。というわけで今回はワンピースに見る「自由」と「正義」についてお話ししたい。

 

以前の記事にも書いたように、僕は「自由」と「正義」は対立する概念だと思っている。「正義」は確かに素晴らしいが、「正義」の押し付けは時に共通の「正義」を信じない者に対しては信じられないくらい排他的で残酷なものとなる。

 

さてワンピースで「正義」と言えば真っ先に思い浮かぶのが、海軍の背中に大きく描かれてたものだ。「絶対的正義の名の下に!」というシーンは結構印象に残っている人も多いのではないだろうか。

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ワンピースの世界では悪役であるはずの海軍が「正義」を声高に叫ぶのは尾田先生一流の皮肉だろう。これは逆説的に「正義」が絶対的なものではないということを物語っている。

 

一方、ワンピースで「自由」と言えば、思い浮かぶのが下のシーンである。曰く「この海で一番自由な奴が海賊王だ!!!」このことから尾田先生も「正義」と「自由」の対立を深く理解しているのではないかと推察する。

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しかしながら、やっぱりそこはワンピース「正義」を重んじるコミュニタリアン的な側面も持ち合わせている。

 

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このシーンは一度ルフィと対立して一味を抜けたウソップが、再び一味と合流するシーンだ。この時にゾロはけじめもつけずにウソップが一味に戻ることを頑なに許さない。一見すると「仲間大事にしてないじゃん」と思うのだが、それは逆だ。ゾロがウソップの出戻りを許さないのは彼が「軽々しく一味を抜けた」からだ。そこには何よりも仲間に重きを置くマイルドヤンキー的な、そしてワンピース的価値観がある。

 

とは言え、主人公が目指す海賊王の定義がこの海で一番自由な奴、ということで僕は最終的には仲間はそれぞれの「自由」を求めてバラバラになるのではと考えている。ゾロは世界一の剣豪になるため、ナミは世界の海図を完成させるため、サンジはオールブルーを見つけるため。仲間の思いは様々だが、こうした自分の夢を叶えるために徒党を組むというのは自由を重んじるリバタリアン的な価値感とも一致する。

 

 

 

さてここまではワンピースの根底に流れる「自由」と「正義」という価値観について見てきた。ここからはリバタリアン的な僕の私見による最終話を予想したい。

 

ワンピースファンの間ではまことしやかに語られる最終話予想のひとつに「三つの古代兵器、プルトン、ウラヌス、ポセイドンによりグランドラインとレッドラインが崩壊し全ての海がひとつにつながる(=ワンピース)」というものがある。海王類を操れるポセイドンがグランドラインを開放し、島を砲撃ひとつで消し飛ばすプルトンがレッドラインを破壊するというものだ。そして4つの海が文字通りつながり、同時にサンジが目指すオールブルーも現れる。

僕のワンピースの最終話予想、ほぼ間違いないでしょう。長年のワンピースファンならば... : 【ワンピース最終回】 予想なのに面白い!! ありえそうな予想のまとめ ネタバレ要... - NAVER まとめ

 

仮にこの最終話予想が真実だとすれば、まさしくリバタリアン的な発想であると僕は思っている。リバタリアン的な自由が行き着く先は国家の否定であり、国境の崩壊だ。そしてグランドラインとレッドラインという象徴的な「境」がなくなることで海賊王は海を「自由」に行き来できるようになるだろう。

 

さてここからは本当に僕の妄想なんだけれど、未だに役割が不明な最後の古代兵器ウラヌスについて私見を述べたい。ポセイドンがグランドラインをプルトンがレッドラインを崩壊させるものだとしたらウラヌスはきっと概念の壁を壊すもの、つまり情報を取り扱うインターネットのようなものではないかと思っている。古代の三大兵器の存在を示唆していると言われるエネルが眺めていた壁画には空に浮かぶウラヌスらしき天体が浮かんでいる。僕はこれを見た時にグーグルの気球インターネットを真っ先に思い浮かべた。

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そう考えると尾田先生は決してマイルドヤンキー的な価値観を賛美しているわけではなく真に自由を愛するリバタリアンなんじゃないかと思えてくる。ぶっちゃけ最近はストーリーを追えているわけではないけれど、何にせよ結末が楽しみな漫画の一つだ。なんだか「自由」と「正義」を語るつもりがワンピースのファンサイトみたいになってしまった。